あの~……あたしの買い物をしにきたのでは?

そう言おうとしたけど、せっかくあたしのためについてきてくれたんだから、

ももちゃんの買い物くらいも付き合ってもいいんだけど。

「ももちゃん、行くの?」

「行きたいけど、時間ないでしょ?ほら、あんたの買い物に来たわけだしさ。」

「行くなら、ついて行くよ!付き合ってもらうだけじゃ悪いでしょ?ももちゃんも、
自分の買い物すれば?」

「いいの?」
「どうぞどうぞ!時間だけは気にしてくれればいいよ!
それに、ほら。」

あたしはももちゃんの前にある案内ボードを指差して、

「トレボックの隣の店、ちょうど、雑貨屋だし。あたし、隣にいるからゆっくり見てて!
あっ、でも一つだけお願い!どんなのがいいか選んでくれない?
ももちゃんの買い物終わってからでいいから。それまで、見るだけ見てみるね。
あたし、センス無いから、それだけよろしくね!」

そのあと、二人でお店に向かってそれぞれの買い物をした。

あたしは雑貨屋に入り、ペアネックレスとペアリングの前でグルグル。

悩みに悩んだけど、やっぱりよくわかんない~……!!

すると、

「お客様、彼氏さんとのペアですか?」

ここのお店の店員さんに、声をかけられた。

彼氏さんだって………

あたしの彼氏は人気アイドルグループの葵です!
なんて言えるわけないか………って、待って!!

ばれてないよね!?

あたしがあの、女優の乃々華である事が!!

どうしよう………

「お客様、どうかしたんですか?」

「へっ!!……あっ、何でもないです。それじゃあ!!」
思わず、逃走してしまった。

しかも、変な声出たし。

でも、ばれてないよね?

危なかった………