「まだ、引きずってんの？」
ももちゃんが問いかけてくる。
引きずってしまってるのは事実。

でも、どうしても答えられない。
「……。」
「やっぱ、そうなんだ。仕事はすごい熱心にやってるよね、ののは。
もう、すっきりしたのかと思ってた。」
「…すっきりなんてしてないよ。毎日重いんだから。」

ずっとずっと重いままでその気持ちを紛らわせたくて仕事に没頭してるんだもん。

そういえば、もうすぐSTERBOYZの最終公演だった気がする。
それが終わればきっと帰ってくる。
でも、帰ってきたとしてももう、好きって言えないのかな。
こんな寂しい終わり方なんて嫌だよ……

そう考えると、押しつぶしていた自分の気持ちが蘇ってきて、涙が止まらなくなる。
どうしたらいいんだろう。

芸能界の恋愛ってこんなにも禁断で難しい恋なんだって思い知らされる。
こんなにも、苦しくなるなら芸能界なんて入らなければ良かった。
でも、芸能界でスターネオンの事務所に入っていなければ、たくさんの人と出会うことなんてなかったよね。もちろん、青いだって遠くの存在だったね。

ただひたすら涙を流すだけのあたし。
そんなあたしをいつも近くで見守ってくれて、助けてくれたのはももちゃんだよね。
今も、ももちゃんは隣にいてくれてる。
大切な親友だ。
「のの、そんな泣くな！そんなに、苦しいならもう自分の気持ちを周りになんて惑わされないで、
はっきり伝えなきゃ！まだ、好きなんでしょ⁉
自分の気持ちを押し殺すまでしなくていいんだよ！難しいなんて、どんな恋も一緒なんだから!!
きっと、葵さんだって分かってくれる！だって、葵さんもまだ、乃々華のこと好きなんだから！
……あっ!!」
そう言って急いでももちゃんは自分の口を手で抑えた。

好き？
どうして……
決めつけられるの？

「どういうこと？……葵がまだあたしのことが…」
「とっ、とにかく絶対そうだと思うってことよ！
だから、頑張りなさい！」
ももちゃんはそう励ましの言葉を残して部屋を出て行こうとした時、ももちゃんは立ち止まって、
「あと、葵さんたちの最後の公演が世界的にニューヨークから放送されるんだって。
だから、絶対見なきゃダメだから。約束ね！もしかしたら、そこで葵さんがちゃんと気持ちを言ってくれるかもしれない！あくまでもあたしのカンってことだけど。」

葵の本当の気持ち?……

あたしの頭はゴッチャゴチャで理解ができない。
もし、気持ちを言ってくれたら………？