Side 乃々華
本当のことを葵に伝えてから数日が経って、今日も学校に登校する事になった。
きっと、またハラハラの一日になりそうです。

そして今は屋上で例のかりそめの彼氏、大地とお昼ご飯を食べている。
「今日も仕事無しになったのか?」
「うん。だから学校に来たの。」
「そっか。でさ、今の俺らの関係のこと葵って人には伝えたのか?」
「まあね。葵さんは大人だからすっごくいい人なんだ。伝えたら、何ひとつ驚かなくて、
冷静に聞いてくれたの。それでも、乃々華のこと俺は好きだからって。この気持ちは変わることないしって言ってくれてね。嬉しかったの。だから、平気だよ。校内だけの関係なら。」
「だな。葵って人はいい人っぽいと俺も思う。」
そんな話をしながら昼食を食べ終えて、大地と手を繋ぎながら教室に向かったけど、
何か変な気分。葵以外の男性とは手を繋いだりキスしたりしないって自分で決めてたのにちょっと
複雑な気分。大地とキスしちゃったときもあたしは悪くないけど、こんな気持ちになったな。
そんなことを考えながら教室に向かう。
午後の授業中、ポケットにいれていた携帯のバイブが鳴った。
ディスプレイには・・信じられない人からのメールだった。
それはあたしの愛しの彼氏からだった。
びっくりして目を丸くしてしまったけど携帯を開いて確認する。
内容は今、仕事終わってホテルにいるんだけど、学校何時に終わんの?
とのことだった。
学校、今日は6時間授業だから、だいたい4時半くらいだと思うって返信をすると
すぐにメールが送られてきた。意外に早くてびっくりとは思ったものの、何か嬉しかった。
葵からメールなんて滅多にこないから。
メールの内容は4時ごろに車で迎えに行くっていうことだった。

迎えにくるって・・・えっ!?これはちょっとヤバくない!?
だって、葵はあの有名なアイドルなのに、しかも、芸能人だよ!?ヤバイかも。
あたしは何か嫌な予感がした。
一応、分かったと送っておいた。授業に集中できない!!嫌な予感しかしなくて。

帰りのHRが終わりみんなは帰り支度を始めている。
学校の門に目を向けると、生徒はたくさんいるし、芸能人が
やって来ちゃったら大変な事になるに違いない。
すると、門の斜め前に一台の黒い車が止まった。
間違いない。葵たちにマネージャー宮本さんの車だった。
きっと、借りてきたんだと思う。
あたしはももちゃんに適当に理由を付けて全速力で門に向かった。
黒い車の窓をコンコンと叩くと、サングラスをかけて携帯をいじってる葵が顔を出した。
スモークがかかっているから中は外からは見えないようになっている。
あたしは急いで車に乗り込んだ。だって、ばれたらヤバイもん!!
車を走らせ、今は信号で止まっている。
「葵!!危ないじゃないの!芸能人があの学校に来たなんてなったらたまったもんじゃないよ!
まあ、迎えにきてくれるのは嬉しいけど。」
「確かにヤバイかもな。俺みたいな有名人が来たなんてなったら。でも、誰も俺だとは気づいてないと思うけど?」
「でもさ、危ないじゃん!もしかしたら気づいた子いたかもしれないよ?ていうか、いきなり迎えに来てくれるなんてどうしたの?どこか行くつもり?」
あたしは不思議に思ったので問いかけてみた。
もしかして、デートとかいうのかな!?
でも、あたし制服だし、絶対無理だ!でも、もしそうだったら嬉しいけど、あたしたちは芸能人って部類だし、デートなんてのうのうと出来っこない。
「まあ、デートかな?」
はい~!?!?やはりデートですか!?
「無理無理!絶対無理だって!あたし、制服だし芸能人っていう部類なんだよ!?
堂々と出来ないよ!」
予想的中。デートなんてしたくても出来ないって。
ふと、窓の外を見てみる。ここは・・・都会にきちゃってる!?思いっきりデートだ。