ずっと大好きな君と。

久しぶりの自分の席。
あたしの席とももちゃんの席は前後で窓際。
窓から見える学校の校庭、風で揺れる木々たち。
どれもが久しぶりの風景。
あたしはこの席から見える風景が大好き。

朝のHRが終わり、ガタガタと席を立つ人たち。
みんながあたしとももちゃんの席にやってきて、やっぱり質問ばっか。
芸能人とかめっちゃいるでしょ?とかどんな芸能人と会ったの?などなど。
その質問には全てももちゃんが答えてくれた。
あたしは相変わらず、外を見ながら、葵のことを考える。
あたしと葵は秘密な関係で、誰も知らない。
でもそんなことも何故かドキドキハラハラって感じでちょっぴり楽しい恋。
でも、そんなうかうかしてるのも束の間、ある事件が起こった。

久々の学校の授業が終わり、帰り支度をしているあたし。
「のの、あたしちょっとトイレ行ってくるね。」
そういって、ももちゃんが教室を出て行き、教室に残っているのはあたしを含めてごく数人。
その中に一人、あたしの隣の席の男の子があたしに話しかけてきた。
「あのさ、前島、俺の名前分かる?最近、前島忙しくて、学校来てねーから知ってっかなって。」
確かこの男の子は武田大地くんだった気が・・・・
この男の子はあたしの記憶からすると、結構女の子にモテるとかって噂をきいたことがある。

「えっと、武田大地くんだったかな?」
「そうそう、覚えてたんだ!良かった。あのさ、ちょっと話したいことあるから、屋上行かない?」
この展開ってまさかの!!って思ったけどそんなはずはないと信じて、
「分かった。あっ、ちょっとももちゃんのところ行ってくるから、先屋上行ってて。」
「了解。」
大地くんは笑顔でそう言って、屋上に向かって行った。
そこでちょうど、ももちゃんが戻って来た。
「ごめん。遅くなった!!帰ろう!」
「ももちゃん、あたしさっき隣の席の武田くんに屋上来てって言われちゃってさ行かないといけないんだ!だから、待っててくれないかな?多分、すぐ済む用事だと思うから。もし、間に合わなかったら、メールするからそしたら先帰っていいよ!!」
「いいけどさ、まさかとは思うけど告白とかじゃない!?だったら、あたしも行く!影から見守る!!」
そう言って、ニッと笑い、任せなさいとでも言わんばかりに親指を立てている。
「えっと・・・別にいいけどさ、告白されても断るつもりだよあたし。」
「えっ!何故!?あんな女子からモテてる武田を断るだと!どんな根性を・・・ていうか、
何で!?」
「えっと・・・いゃ〜・・・と、とにかく断ります!待たせてるから行くね!?」
ヤバイ、バレるかもだよね。あたしに彼氏がいることが・・・
どうしよう!?告白だったら!
どう断る!?
そんな変な気持ちを抱えながら、重たい屋上の扉をあけると、オレンジ色の空を眺めてる武田くんの姿があった。なんか、輝いて見える。だから、モテるんだな・・・。