中学3年の七夕祭り。おくりものが来た。

 拓真の命日に電話がきた。相手は、拓真。
 幽霊とかの恐怖は全くなかった。ただただ嬉しくて電話に飛びついた。
「もしもし?」
「あー、もしもし。今暇?なんとなく話がしたくなって」
 生前よくやってたように拓真は話を始める。
 話しているうちに分かったこと。拓真は死んだ頃の記憶がない。つまり拓真本人は自分が生きてるんだと思い込んでる。だからアタシもそのことは話題に上げない。
 ただ、拓真からの電話を心から楽しんでる。


 高校1年の七夕祭り。また拓真から電話がきた。もはやこの状況を楽しみにしている。
 一応、このことは拓真の両親には言っておいたが、拓真は夏帆ちゃんと話したいんだよ、と笑っていた。無理やり拓真からの電話を押し付けたら、泣き崩れて電話どころじゃなかった。軽薄だったなと反省した。
 この年気づいたこと。拓真からの電話は七夕祭りが開催してる時にしか掛かってこないこと。
 年に数日にかできない電話はひどく愛おしいものだった。