ビジョンなどと小難しいことを言われて、亜里沙は困ってしまった。

明確なビジョンなんてない。

本当は27の今だって結婚願望はある。

ただ引っかかっているのは、陽太への想いだけなのだ。

でも、こんな本音を智和に話せるわけがない。


「1年くらいあれば、結婚に対して気持ちも固まると思うの……」


亜里沙はその場しのぎの言葉を吐いた。

なんとなくだが、1年以内には陽太のことも決着がつくと思ったからだ。


「1年か……。僕にとっては長いなぁ」