結婚できるの?

亜里沙は両手を前に出して制しながら、やんわりと拒んでいた。


「ここじゃ帰れないよ。亜里沙ちゃんが部屋の中に入るのを、見届けるまでは心配だから」

「大丈夫ですよ。ほんとに」

「いや、今の亜里沙ちゃんなら、ここですぐ寝ちゃう可能性もある。とにかく部屋まで行こう」


毅は有無を言わさず、亜里沙の手を引いてエントランスに入った。

賃貸料の安い中古のマンションだから、エントランスにロックはない。

誰でも通れる共有部分を、毅は悠然と歩いて行く。

亜里沙は抵抗するのを諦め、毅と一緒に部屋の前まで進んだ。