結婚できるの?

美佐に動揺を気づかれないよう、亜里沙は落ち着いた動作でカシスオレンジを口に運ぶ。

それでも内心は苛立っていた。

怒りとは少し違う。

絶望感に近い、どうにもやり切れない思いだった。


「美佐ちゃん、誰にお願いしたの?」

「最初は人事課長の青木さんです。そしたら、取締役の川島さんにまで話が進んで驚きました」


だからあのとき、川島が出てきたのか。

亜里沙は自分が川島に諭された背景を初めて知った。