結婚できるの?

その微妙な空気は、食事中も続いていた。

せっかくの洒落た店内の雰囲気も、美味しいコース料理も、千香を心踊らせることは出来なかった。


「すごく美味しかったよ。肉も柔らかくて、ソースも合ってて」

「それなら良かったです」


智和はしきりと褒めるけれど、千香は淡々とした相槌を返すだけ。


「近所にこんな店があるなんていいな。雰囲気もいいし。千香さんは店選びのセンスもいいね」


智和はコーヒーを飲みながら、店内を見渡して言った。

自分のセンスを褒められた千香は、嬉しさよりも心苦しさを感じる。


「智和さん、無理してませんか?」