結婚できるの?

「無理してフォローしなくていいよ。余計に悲しくなるから」


智和の声や表情は淋しげだが、怒りの色はなかった。

すべてをありのまま受け入れ、自分の感情は自分の中だけで処理しようとしていた。

亜里沙の心に複雑な思いが流れる。

智和が少しも怒ったり罵ったりせず、亜里沙の気持ちを静かに受け入れたから……

逆に失うことへの寂しさと、僅かの未練が生じてしまった。

一番好きなのは陽太だとはいえ、智和との二年間の交際は良い思い出しかなかった。

智和と一緒にいて、不愉快になったことは一度もない。