結婚できるの?

智和の住むマンションに着き、エントランスで部屋番号のチャイムを押した。


「亜里沙です」


マイク越しに小声で名を告げると、オートロックのガラスドアが開き、亜里沙は足を入れた。

まっすぐエレベーターの中まで進み、10階を押す。

陽太のアパートとは全く違う高級マンション……。

陽太が智和の歳になったときは、どんな部屋に住んでいるんだろう……。

このマンションに来るのも今夜が最後だと思うと、感傷的な気持ちになった。

10階で止まったエレベーターから降り、亜里沙は智和の部屋へと進む。