「恐いのよ。結婚で人生が決まっちゃうのが」

「亜里沙、なに言ってるの? そりゃ陽太みたいなフリーターとかなら、大博打の結婚になるけどさぁ。智和さんなら亜里沙の生活だって、確実にステップアップだよ?」

「ステップアップとか経済的安定とか、今の私は興味ないのかもしれない」

「じゃあ何に興味があるの? まさか、まだタレントになりたい、なんて考えてるの?」


亜里沙は首と手まで大きく振って否定する。


「それはないよー! もう若くないし。ってか、自分の才能にも見切りをつけたから」

「だよね。そう思ってるなら、どうして結婚に踏み切れないのか謎だわ」


不思議だ! 謎だ! と千香に散々言われた亜里沙は、ゆっくりと自分の本音を吐露し始める。