夜の通りを一人で歩きながら、千香の心に切ない感情が込み上げてくる。

これで本当に良かったのだろうか。

今の千香には冷静な判断など出来なかった。

喫茶店に三人でいたときは、陽太に対する嫌悪と拒絶が心を占めていたけれど……。

一人になった途端、6年間の楽しかった思い出が浮かんできて、心は切なさに支配されていた。

後悔、という言葉まで脳裏をよぎる。

裏切った二人を目の当たりにして、さらには陽太が亜里沙ばかりを気にしているように思えて、別れたいと思ったのは確かなのに……

今は淋しくてたまらない。