亜里沙は自分のグラスにウィスキーを注ぎ足す。

二人が飲み始めてからは、2時間近くが経過していた。


「智和さんとの結婚、まだ決心できないの?」


千香も自分のグラスにウィスキーと氷を入れながら訊ねた。


「うん……。結婚相手として彼よりイイ人なんて現れない、って思うのにね。踏ん切りがつかない」


亜里沙はストレートに近い水割を勢い良く飲むと、大きな溜息を吐く。


「亜里沙が智和さんにプロポーズされたから、私も今夜は頑張ったんだけどなぁ」

「そうなの? 千香が陽太にプロポーズしたのは、私の影響もあるの?」