結婚できるの?

呆然としたまま、うな垂れて動かない亜里沙。

ビールで濡れたテーブルを拭いたのは千香だった。

千香は全部拭き終えると、まだ立ったままの智和に言う。


「遠慮しないで座ってください。麦茶かコーヒーかビール、どれがいいですか?」

「じゃあ麦茶をいただきます」


智和は遠慮がちに、亜里沙の正面に腰を下ろす。

千香は三つのグラスに麦茶を注いでテーブルに置き、智和の隣に座った。

本来なら亜里沙の隣に座る方が自然なのだろうが、千香は亜里沙の表情が見える席を選んだ。