それに智和は自分と同じ、言わば被害者だ。

恋人に裏切られた者、という同じ立ち場。

智和なら誰よりも心の痛みを理解してくれるだろう。

千香は瞬時に判断し、智和に向かって告げる。


「智和さんに相談したいことがあるんです。もし良ければ、近いうちに会えませんか?」

「もちろん構いませんが、どんなことでしょう? 亜里沙のことですか?」

「いえ……私の個人的なことです。それじゃダメですか?」

「ダメなわけないですよ。千香さんは亜里沙の親友ですから、僕にとっても大切な人です。僕で構わなければ、何でも聞きますよ」