ずっと苦しげだった陽太の表情も和らぐ。


「ありがとう。亜里沙には凄く感謝してる」

「別れても、ライブには行っていいの?」

「もちろん! 次の予定は決まってないけど、決まったら教えるよ。亜里沙に観てもらえるなら嬉しい」


陽太は今でもバンドを続けていた。

小さなライブハウスへの出演さえ、年に数回できるかどうかの細々とした活動だったけれど。


「別れても陽太のこと、ずっと応援してるから!」 


爽やかな言葉の裏で、亜里沙の未練は黒い意志となる。

陽太は誰にも渡さない……絶対に……。