「固まったか、って訊かれると答えにくいんだけどさ……」

「千香との結婚を決めたわけじゃないの?」

「そこはまだ考え中だよ」

「だったら、」


身を乗り出して言いかけた亜里沙を、陽太は制する。


「でも、亜里沙と別れることは決めたんだ。ずるずると続けるのは、もうやめよう」


ずるずるなどと惰性の関係みたいに言われ、亜里沙は悔しくて唇を噛みしめる。


「……分かったわ。陽太の決心が固いなら仕方ないもんね」


亜里沙は涙をこらえ、無理して笑顔まで作って言った。