「そうだね。亜里沙の言う通り、迷いはあったよ。まだ結婚なんて考えてなかったし」

「だったら焦って結論を急ぐ必要ないと思う。私のことも、もう少し見て欲しい」

「それは……ごめん。本当に」


陽太に謝られ、亜里沙は絶望感でいっぱいになる。


「千香と結婚する気が固まっちゃったの?」


訊ねながら亜里沙は涙ぐんでいた。

こんな状況でも、まだ陽太への未練が断ち切れないのだ。

そして陽太の返答次第では、千香にすべてを打ち明けることさえ考え始めていた。