「こんな言い方はズルイんだけどさ……一番の理由は、亜里沙には智和さんがいることだよ」

「智和さんとは別れるから! プロポーズも断ったし、これからは陽太だけよ!」


亜里沙の言葉を聞いた陽太は、苦しげに目を伏せる。


「千香は、ずっと俺だけだったんだ。6年付き合って、俺との結婚まで考えてくれた」

「でも陽太は千香のプロポーズをオッケーしなかったでしょ? 千香からそう聞いてるわ」

「断ったわけじゃないよ。突然でビックリしたし、少し考える時間が欲しいと思ったんだ」

「何で考える時間が欲しいと思ったの? 迷いがなければ、その場でオッケーするよね?」


亜里沙は陽太を問い詰めながら、絶対に別れたくないという気持ちが大きく膨らんでいた。