講堂で集会の途中、中村を見つけた。

中村も私に気づいたみたいで一瞬目が合うと、照れくさそうに目をそらした。
その瞬間胸の奥がドキッとした。
結局集会が終わるまでドキドキはおさまらなかった。

「どうしたんだ?」

授業中篠原がこっちに向かって小声で話しかけてきた。

「別に何もないよ。なんで?」

「いや、さっきからぼ~っとしてるからさ。」

「大丈夫。」

「何かあったら言えよ。」

「うん。」

うわぁ。けっこうやばいかも。

「顔赤いぞ。」

ダメだ。私丸わかりじゃん。すぐ顔にでるタイプだからなぁ・・・。

「大丈夫。暑いだけ。」

私は、そういってごまかした。

放課後。私は音楽室へ移動していた。
窓からグラウンドを見下ろす。

(あれ?中村もサッカー部だったんだ。)

「加奈?早く!行くよ~。」

「あ、待って~。」

「何してたの?」

この子は千尋。同じ部活で、仲がよくなった。
パートはトロンボーン。

「窓からの景色を見てたの。」

もちろんウソ。

「嘘だね。正直に言おっか。」

なっ!?バレた?くそっ!
正直に言うしかない。

「サッカー部を見てた。」

「さては好きな人がいるな?」

え?好きな人?そんなの考えたこともなかった・・・。

「そうなのかな・・・?」