船旅から始まる修学旅行だった。
28時間かけて、島まで行き、5日滞在して帰って来る。
その間、島の歴史など学んだり、海水浴をして遊んだんりもするというものだった。

行きの船は、初め、天候が悪い為にかなり揺れた。
そのおかげで、船酔いする子が、続出した。

その世話をした子が、もらちゃったりもして、大変だった。
私と恵子は、全く酔わなかった。
そして、ずっと一緒に話をしていた。

天候が、良くなって甲板に出れると聞いた私と恵子は、甲板に上がった。
夜だったせいで、たくさんの星が見えた。

その星の見える甲板に座り、歌を歌ったり、話をして過ごした。
何度思い返しても、贅沢な時間を、共有したと思う。

この時間があったから、私は恵子のあの行為さえをも、受け止められたんだじゃないかと思う時さえある。

星が消え、暗闇になり、寒くなったと思ったら、水平線から日が昇った。
まぶしくて、目を開けていられなかった。

船の前方に、魚が飛んで来るのが見えた。
朝日が光って、きれいだった。
その1匹が甲板に、落ちた。

私と恵子は、魚を拾い上げてみた。
2人して出た言葉は「食べられる魚なのかな?」だった。

食堂に聞いてみることにした。
食堂は、やっている時間ではなかったけれど、調理師さんたちはいた。
思い切って声をかけた。

そして、「すいません。甲板でこの魚を拾ったんですけど、食べられますか?」と聞いてみた。
調理師さんは、「飛び魚だね。食べられるよ。」と言って、さっそく調理をしてくれた。
調理師さんは、時々、飛び魚が船にぶつかると言っていた。

しかし、甲板まで入って来るのは、珍しく、しかもそれを食べたいと言う女の子も珍しいと笑われた。

飛び魚は、思っていたよりも美味しかった。
食べ終わった私たちは、調理師さんにお礼を言って、食堂を出た。
そして、他の友人たちがいるところへと、戻った。