その毒は蜜より甘く



わたしは、立ち上がってグレイを睨みつけたまま、叫んだ。


「謝ればすむと思ってるのっ!?こんな場所、最悪だわ!嫌がると思わなかった?嫌がるにきまってるじゃないっ!!
--吸血鬼なんか、大っ嫌いだもの!!」


思いをぶちまけると、今度は涙が溢れた。ボロボロとこぼれ続けるそれは、止めようとしても止まらない。
結局わたしは、声を上げて泣きながら、絨毯のうえに崩れ落ちた。
グレイは、ほんの少し目を見開き、それでもすぐに無表情にもどって、もう一度、

「……申し訳ありません」


と囁いた。

「……っ、出ていって!」


グレイは、しばらく迷ったように黙っていたけれど、
「……ドアのそばにいますので」
そう言いのこし、去っていった。