そうしてようやく、扉が閉じた。
残されたのは、わたしと、グレイと呼ばれたあの少年。
グレイは、震えるわたしを静かに見下ろしていた。
そうして、長い長い沈黙のあと、一言。
「……申し訳、ありません」
「……え」
予想外の言葉に、わたしは思わず顔をあげた。グレイは無表情に、淡々と続ける。
「主の……命令とはいえ、あなたをここへ連れてきたのは、私です」
「……」
「……あなたがそんなに嫌がるとは、思っていなかったのです」
感情の籠もらない声。けれどそれは、少しは本当に申し訳なさそうに聞こえた。
彼はアルハイド伯爵に仕えているだけだ。わたしも元メイドの身、そのあたりの理解はできる。これは彼のせいではない。
そう、頭では、わかっているのに。
わたしは、それに「気にしないで」「あなたのせいじゃない」と、優しい言葉をかけることができなかった。
彼の瞳が、淡い水色……吸血鬼特有の色なのに、気づいてしまったから。
「……何よ!」

