女は胸元を手繰り寄せて…
俺を不思議そうな目で見ている。
そりゃそうだろ。
指1本触れて無いのに、
服のファスナーを下げたんだから。
普通なら驚くし、不思議がっても可笑しかない。
フッ、俺をそんな目で見るな。
蔑むような眼つき…興奮するだろうが。
「何だ、その眼つき」
「べ、別に…」
「俺は何もしてないぞ?」
「わ、分かってます!!」
「へぇ~、分かってくれるんだ?」
「え?」
「いや、何でもない」
俺は入口に向かい歩き始めた。
「仕事が大事なんだろ?早く行け」
「えっ?あっ……はい」
女は小走りに部屋を出て行った。
さて、アイツが魔印を消せるとあっては
迂闊に手を出すのは難しいな…。
フゥ、どの手で行くかだ…な。



