「羽生さんって、彼氏いるの?」
「かっ…彼氏ですか?……いませんけど…」
彼女は緊張してるのか、コーヒーを飲み始めた。
「じゃあさぁ、俺の彼女になってみない?」
「ブッ…ッぁつッ……」
彼女は動揺して、コーヒーを吹出した。
「大丈夫か?ほら…」
俺はティッシュを渡し、彼女からカップを受取りテーブルへ置いた。
「もう!!先生が変なこと言うから…」
「変なこと?…そうか?」
「そうですよ!別に好きでも無いのに“彼女になってみない?”なんて…言っちゃダメですよ?」
彼女は零れたコーヒーを拭きながら、
笑って聞き流そうとしている。
そうはいかない。
俺はそんな彼女に……。
「なんで、好きじゃないって分かるの?」
「えっ?」
「俺がキミのこと好きかどうかなんて分からないだろ?」
「だって……」
「だって……何?」
俺は更に問い詰める。



