「お邪魔します」
深呼吸して助手席へ乗り込んだ。
周防先生の車は、RV車で車高が高く見晴らしが抜群。
車内は広く、爽やかな香りが漂っている。
「何食べたい?」
「ふぇっ?」
車内をキョロキョロ見まわしていると、突然声を掛けられ…
思わず可笑しな返事をしてしまった。
「フフッ…もしかして、緊張してるの?」
「えっ!?……その……っていうか、先生。他の誰かと間違えてませんか?」
「ん?他の誰かって誰?」
「私に聞かれても…。けど、本当に私ですか?」
「面白いこと聞くねぇ。んー…羽生莉胡26歳独身。小児科外来勤務の5年目。趣味は読書で、特技は…」
「あ―――――ッもういいです!分かりました」
「フフッ。分かって貰えた?」
「………はい/////」
私は恥ずかしさで顔が真っ赤に…。
何で先生…、私のことあんなに詳しく知ってるの?
年齢や独身ってことは誰でも分かりそうなものだけど、
趣味や特技って……。
一体、先生って何者!?



