俺が動けず立ち尽くしてるのをいい事に、
奴は俺を蔑むように見ている。
俺はその隙に…
『莉胡!…莉胡!?……莉胡…』
彼女の心へ呼び掛ける。
頼む……届いてくれ…。
『俺の声が分かるか!?』
すると、莉胡はコクリと小さく頷いた。
ヨシ!!やっぱり通じるんだ!!
俺は莉胡へ“助ける”と約束を。
すると、黙っていたアイツが
「ほぉ~よく入って来れたな」
莉胡の上から退き、ベッド脇に腰を下ろした。
もう少しこっちに来れば…
『莉胡……目を閉じてろ』
『えっ!?』
『いいから、目を瞑ってろ。いいな?』
俺は莉胡が目を瞑ったのを確認して…。
悪魔である奴が聖女に手を下したように、
俺もまた……
踏み入れてはいけない領域へと…。



