「では……どうして、木戸先生が?」
「アイツは君の聖女の力を悪用しようとしている」
「………」
「元々、聖女は天使の妃となる者。決して悪魔と結ばれる事は無い」
「なら………何故?」
「アイツは神託の儀式に使う“魔神杯”を持っている」
「魔神杯?」
「神界王様が言うには、、魔の結界の中で魔神杯に悪魔の生き血を注ぐと、魔酒になるらしい」
「え?」
「その魔酒を口にすれば、たとえ聖女であっても悪魔の妃となれるらしい」
「へ?」
「奴は君にその魔酒を飲ませるつもりだ」
「………」
「だから……俺に誓ってくれ!!決して、アイツが差し出す魔酒を口にしないと……。頼む!!」
「えっ!?」
俺は彼女の両手を強く握りしめ……懇願する。
「俺の全てで…君を守り抜くから……頼む!!」
俺は頭を深々下げた。
すると―――――、
彼女は俺の手を握り返して来た。



