君の隣で夢みた未来

彼女は声と同じように微笑みながら言った。



「よくわかったね。ここに居ること」


「好きでしょ?音楽室」



一度は音楽の道を夢みた美咲さん。


彼女は忘れていたようだけど、「いつか母校を訪れる時があったら音楽室には絶対に立ち寄る」と言っていた事を俺は覚えていた。



「そうだけど…」



参ったなと言わんばかりの困った彼女の表情。


この表情、実は少し好きだったりする。


いつもお姉さんぶってて余裕のある美咲さんを少し困らせるのが、楽しいというか…なんか、好きなんだ。


きっと、これは俺にしか出来ない業だと思う。


俺も、彼女以外にこんなことはしない。


…むしろ出来ない。



「ここに居なかったら図書室かと思ってた」


「さっき行ったよ?図書室」



図書室…。


自分からこのワードを出したのに、脳裏に懐かしい記憶が1枚のポラロイド写真のように浮かび上がった。


俺らの距離がグッと近くなった場所。


あれからたった2年しか経ってないのに既に懐かしい。



それからだ、俺ら多くのことを語らなくてもお互いの事を理解できるようになったのは。


美咲さんは、俺の事を簡単に見透かすようになったんだ。


良い事も、悪い事も。