どちらからともなく「じゃ」と言って電話を切った。


何だったの?


今の…



私はふかふかのベッドに倒れ込んだ。


なんだか、顔が熱い。


胸がギュッとする。


…なに、これ。



そんな時、携帯が鳴った。


着信の画面なんか見ずに通話をタッチした。



「もっしもーし」



間抜けな私の声。


電話の主は、それを聞いて『ぶっ』と噴出していた。



『間抜けな声だなぁ。寝てたか?』



電話の主は翔だった。



「ううん。起きてた」


『お前、今から少し出られるか?』


「なんで?」


『バイト早く終わってさ。暇だから飯でも行かん?』



翔のバイト先は私の家の近所。


だから、極稀に、こういった類の電話が来る。


本当に極稀。