君の隣で夢みた未来

「綺麗ですね」



あたしがぽつりと言うと、美咲さんは少しだけ誇らしげに「でしょう?」と言う。


だけど、それは全然嫌味な感じがしないから悔しい。



「ここはね、けーすけが落ち込んだ時に、よく連れてくるの」


「…そう…ですか」


「カフェとかで話聞いてもいいけど、あいつすぐに殻に閉じこもるから。こういうところじゃないと言いたいこと言えないんだよね」



この場に先輩はいないのに、美咲さんは煙草をふかしながら愛おしそうに夜景を見下ろす。


先輩の事を話す美咲さんはこんなにも優しい目をするんだ。


その事に、今、気付いてしまった。



「ねぇ、実子」



あたしの名前を呼ぶ美咲さん。


その声はまるで歌を歌ってるみたいで心地がいい。



「実子は、けーすけの事が好きなの?」



いきなり確信を突かれた気がした。


どうして?そんなことを聞くのだろう。



「言いたくなかったらごめんね。ただ、花火大会の日ふと思っただけ。違ったら、ごめんね」



‘ごめんね’


今日だけで何回聞いた言葉だろう。


先輩の‘ごめん’と美咲さんの‘ごめんね’は種類が違うことくらいわかっている。


美咲さんは、こんなあたしにすら気を使っているようだった。