翔は乱暴に煙草の火を消して吸殻を灰皿に叩きつけるように捨てた。



「…圭介くんの視界から消えるのが怖いんだろ。今のままでいいなら何も言わねぇよ…」



翔は私の方に背を向けて、こう吐き捨てた。



「壊すことも必要なんじゃねぇの?目の前に居場所があるのに…。無くなろうとした時に気付いても遅ぇんだよ。がんじがらめになるんじゃねぇよ。素直になれよ」



そう言って彼は、その場から去った。



私は圭介が好きなの?


実子が圭介の事が好きかもしれないのが怖いの?



私の頬に熱が帯びているのがわかる。


圭介の隣に私が居ることが当然だって思っていたのは、恋愛だったの?



私の脳裏には、2年前の夏の図書室の出来事がフラッシュバックした。


私、あの日のこと…


なかったことに出来てなかったの…?