君の隣で夢みた未来

しばらくして、彼女は再び煙草に火をつけた。


髪が邪魔なのだろう、緩く巻かれた髪を耳にかけていた。


耳にキラリとしたものが見えた。


元々ピアスは開いているのだけど、その耳に俺は以前との違いに気付いた。


俺はベンチから立ち、彼女の前へと立った。



「あれ?ピアス…増やした?」



そっと耳に触れていた。


無意識だった。


彼女は視線を外して、小さく笑った。



「増やしちゃった」



と小さな子が悪戯をして大人にバレてしまった時の様なバツの悪そうな表情を浮かべた。



「…純からね来なくなっちゃった。連絡」



純というのは彼女が前から付き合っていた彼氏だ。


いや、元カレと言う方が正しい表現なのだろう。



「要らなくなっちゃったのかな。私のこと」



彼女は顔を上げた。


その瞳には薄っすらと光るものが込み上げていた。


その名前を聞きたくなかった。



もう、終わってるんじゃないの?


その恋は。



だけど、俺は何も言えなかった。