君の隣で夢みた未来

「最近、何したいかがわからなくて…」



俺は重くなった口を何とか開き、少しずつ心の中にある黒いものを吐き出せそうな気がした。


彼女はそれに言葉を返してくれるわけでもなく、ただひたすら俺の言葉に耳を傾けていた。



「この時期になると、当たり前なんだけど先生達は進路進路って言ってくるし…。仕事だから仕方がないんだけどさ」


「うん」


「担任とかは『やりたい事とか興味のあることとかないのか?』とか言ってくるけど…」


「…見付からない?」


「見付からないっていうか…」


「急がなくていいんじゃない?けーすけのペースで」



彼女はそう控えめに呟き、俺の髪をふわりと撫でた。


何事もなかったかのように、彼女はベンチから腰を離して広場の手すりに手をかけて大きく息を吐いて、ベンチに座っている俺の方へと向き直った。


彼女の背中には街灯り。


微笑む彼女。


夜だけど、その笑みがとても輝いて見えた。


少しだけ彼女との距離を感じた瞬間だった。