* * *


俺は親父に呼び出され、会社に向かう。



いつもなら、靖の送迎付きだけど…

その靖はいない。



靖は銀狐に憑依されていた。俺を慕う靖は全て、銀狐だとしたら心境は複雑だ。



俺と栞は出会うのをジッと待っていたなんて…



栞に対する執着心の強さが恐ろしい。



「…身体はどうだ?」



信号待ち、助手席に座っている栞に話しかけた。