俺と栞は小笠原の私用車で夜の帳が降りた頃、自宅マンションに戻った。


小笠原は玄関先まで送ってくれた。



「すまない。小笠原」



「…二人を帝居の外に出すのは非常に危険だが、危機感を持てば…宇都宮社長も焦りを持つだろうとのセラフのお達しだ…」



「・・・」


次から次へと起こる不思議な出来事に思考はついていっていない。



常識では考えられないコトが俺の周囲で起きている…



「…戸惑うキモチは分かるが…彼女との赤い糸を手繰り寄せたいなら、もっと強い力を得るのが宇都宮社長のやるべきコトだ」




「・・・」



「俺と妻も前世…結ばれなかった運命…でも、現世、再び、巡り合って…結ばれた。もうすぐ、俺は父親となる。妻と子供を護る為にひたすら、強さを追い求めている…世界の滅亡を防ぐ為とかじゃない」