俺と栞の目の前にヤツは座った。


黒いストライプのスーツに白いシャツ、紫地のペイズリー柄のネクタイ姿。



「用件は皇から訊いています。ビジネスで吉原に進出するとか」



「…その予定です。淀んだ空気を祓って頂きたい」



「…俺が祓っても…貴方はまた…その地に…欲望を種を蒔く…。時間の無駄です」



小笠原はソファーに背を預け、足を組んだ。

その図々しい態度に靖が苛立った。



「尭耶さんの知り合いなんか知らないけど…お前…態度デカいぞ!」



「知り合いではない。唯の顔見知りだ…そうだ、な。宇都宮社長」



「そうだ。靖お前は何も口を挟むな…」