「してねぇの?」 「はい」 手に持っていたスポーツドリンクのキャップをしめながら、頷く。 「本当に?」 先輩が射抜くように言った。 「……っ」 思い浮かぶ顔がないわけではない。 ただ、 「恋かは、わからないです」 素直に言ってみる。 この先輩は、テニス部のたらしなのだ。 「わからない、ねぇ」