夏に、恋をした。



桜田は優しく頷く。

「…ゆっくりで、いいから」




――――本当、なんでそんなに優しいのよ




若干八つ当たり気味に心で呟く。


「こないだ屋上で会った日は、元カレとの記念日だった。」

「…今?」


「ううん。去年。もう、別れた」



そう言うと桜田の顔が何だか納得した感じになる。


「…2つ上の先輩。テニス部だったよ?」