彩音は一瞬殴られた頬を撫でて咳込んだ。
「言ったら、あんたはそんなこと?って思うだけよ」
そんなこと?
そんなこと?って何よ。
彩音の言葉が凄く胸に残った。
「そんなことの内容を言いなさいよ」
そう言うとまた沈黙が流れた。
見つめあってた私と彩音。
目をそらした彩音が言う。
「男の事」
しれっと言われた言葉。
女なら分かるの?
男の事って言われれば?
「そう、じゃあ、出て行って」
言葉に出して行ったのは本音。
でも、もう一つの本音は
ふざけるな
だけだった。多分、本当に言いたかったのはこの言葉。
彩音は乱れた服をなおして手鏡をもち、顔を見てバックの中に入れ直した。
「あのさ」
彩音が言う。
「もし、砕花に会ったらごめんって言ってて」
もはや何も言えなかった。
彩音の顔をずっと見るしかできなかった。でも、まだ続ける。
「迷惑かけたね」
少し切なさをかもし出した彩音。
「分かった。伝えておくよ」
私が言うと彩音は一瞬止まって言った。
「あんたのその顔。諦めてるね」

