悲壮の牡丹


その日、初めてのお客さんが来た。

それが、彩音だった。

私は、強張る砕花を見ていた。

その顔を私は忘れた事がない。

死角に居たせいなのか、あの時の彩音からは見えていなかった。

そのせいなのか、砕花の顔が怒りで崩れ始めた。

そのおかげで、私は彩音の顔を見ずにすんだ。

それ以前に、私は砕花に恐怖を抱いたのかもしれない。



動けなかったんだ。