約十分ぐらい考えて彩音が言った。

「そうだ、私は一回帰るからここで待っててよ。ルネの家は狭いし」

「出来ればそうしてほしいな」

私が言うと、行ってくる、とだけ残して全ての荷物を持ち出て行った。


私は、まだ飲んでいないジュースを少しずつ飲みながら昼から開けてない携帯を開いた。


メールも着信もない。
時刻は夜の八時。


鳴らない携帯に意味があるのか?
そんなことを思いながら、ただただ、彩音の帰りを待っていた。