バタンと扉を閉めてやっと自分の家に着いたと息を吐く。
家といってもアパートだけど。
何もないボロいアパート。

この中には何もない、テレビも机もベッドも。
あるのは、クローゼットと冷蔵庫ぐらいだ。
あとは、生活に必要最低限のものしかない、何とも殺風景な部屋。

「あー、疲れた」

床に寝そべった。
そのまま寝てしまいそうな勢いだ。

「…風呂に入ろう…」

起き上がって服を全部脱ぐ。
全裸のまま部屋を動き回り服を全て洗濯機の中に放り込んで、そのまま浴室の中へ。

ボロいアパートならではのクオリティ。
シャワーだけ。
でも、ちゃんと温度設定は出来る。
もうそれがあれば文句は言えない。


シャワー中はいつも考える。
しょうもないことばかり。
例えば、ベッドを買おうか買わまいかとか。

今日は普通に布団と絨毯を買って後悔していた。
何となく…。

「仕方ない。諦めて今日から布団で寝よう」

そう諦めて浴室から出てタオルをとり部屋の中へ。
まだ、びしょびしょに濡れている身体から水が滴り床が少し濡れた。

そんなこんなで、まだ開けてない袋から布団を取りだしてひいてみた。
これからこれで寝るのかと思えば何となく嬉しい。

その時携帯が鳴った。