始まりの合図までの静けさの中・・・ひたすら自問自答を繰り返す。


 
 きっと皆そうだったに違いない。


 唇がぶつぶつ動いてる子もいた。


 
 「はい、じゃあ今から60分。始め!!!」


 シャッシャッシャ・・・
 


 先生の合図と共にいっせいに切り出しナイフの音が辺り一帯に響き渡る。



 よし!私はしっかり練習した!気合い一発!!!


 
 シャッシャッシャ・・・



 削ってる間の60分。頭の中には全く何のコトも浮かばず、脳みその中には一つの感じだって記号だって描かれてなかったに違いない。もはやそれは「思考」による彫刻という運動ではなく、自分の意志に関わらない「反射」の次元になっていた。