狼くんと羊ちゃん

そ、それに!


“僕の片思い”って!あたしのこと好きなの?
信じられない!
可愛くない、たいしてスタイルもよくない、成績もイマイチなあたしのどこがいいの!!?
とにかく!

自分でなんとかしなきゃ。
泣いてる暇なんてない。



「二人とも!」


「「なに?」」


「もう、やめて?涙のせいじゃないし、あたしが勝手に泣いただけだから!二人ともやめてよ…。お願い…」




こんなマジ喧嘩の風景を見ると、自分の両親の夫婦喧嘩の光景を思い出す。

お父さんの暴力をうけていたお母さん。
その悔しさと痛みに耐えられなくなったお母さんは、あたしに暴力を振るうようになった。
そして、いつしかお父さんもお母さんも二人で一緒にあたしに暴力を振るうようになっていった…――――
その頃、中学生になったばかりだったあたしは怖くて、怖くてしょうがなかった




だから、マジ喧嘩を見ると震えが止まらない。
お願いだからやめてほしかった。



こんなことしたって、後悔と傷つくだけなのに―――