愛、桜

「でしょ。わかってくれてうれしいなぁ」
「なんでだろう?」
「なんでってこんなに気持ちのいい空気、たくさん吸ってたらそうなるでしょ」
「そっか・・・」
変に納得してしまった。
「でもさ、普通に歩いてるだけなのに、たくさん空気を吸うなんてコトあまりないよね、なんでかな?」
「私はその理由わかるよ・・・」
みなみは横目で優を見た。
「えっ、なんで?」
「ここに立って話すよりもさ、あそこのベンチに座って話したいな」
「あ、うん」
意識しないと小走りにベンチに向かいそうな自分がいた。だから、みなみは意識してゆっくり歩くように努めた。そして、腰掛けた。
何度も自身の呼吸を確認した。今にも心臓は破裂しそうだ。だからこそ、呼吸を意識し、整え、何もないかのように努めなければ、自分がおかしくなってしまいそうで仕方なかった。
「それで?」
優は答えを催促した。
「慌てないで。少しだけ待って」
まだ話せるほど落ち着いていない。強がっていたが、みなみもそれほど経験豊かな訳ではない。さらに今自分が望んでいる結末、それを思えば尚更だ。
「あ、うん」
言われるがまま、優はぼんやりと空を見上げた。幾つかの星が目に入ってくる。儚い光とでも言おうか、テレビなどで見る星空とは大きくかけ離れ、どこかもの悲しささえ感じる。