「もう、帰ろっか」
母親が言うと、麻友は頷いた。決戦に向かう戦士のように、前を見据え、どこか誇らしい雰囲気が広がった。
店を出ると、街灯の灯りがほんのりと二人を迎えてくれた。おおよそ、さっきまでの麻友の気持ちとは対照的で、それが故にすぐに気持ちが萎縮しだした。
「うぅ、やっぱりやめようかな・・・」
「何言ってんの?!さっきまでの勢いはなんだったの?」
「そうは言ってもなりね、こう心臓が激しく鳴って、もう壊れそうなりよ。もう、無理無理無理」
「無理じゃない。それに今日はこんな時間なんだから、優に連絡取ったりするわけじゃないでしょ。なら、そんなに臆する必要ないじゃない」
「そ、そうなりね」
二人は歩き始めた。あとは家に帰るだけなのだから、特に急ぐ必要もない。タクシーなど使わずに、この気持ちのいい季節を楽しみながら歩いて帰ろうとなった。
「知ってる?この近くに大きな公園があるの。もう時期を過ぎちゃったから、桜は無理だろうけど、それでも色んな花が咲いているし、新緑の香りも楽しめるの。行ってみない?」
疑問形ではあるが、その実、命令形だ。麻友は母親について歩いた。しばらくするとさっきまでは感じられなかった新緑の匂いが、二人の鼻をくすぐった。
「いい匂いがするね」
伸びをしながら母親が言った。麻友も真似をして伸びをした。そして、したまま固まった。
「どうかしたの?」
「な、なんでもないなり」
ぎこちない態度から何かを隠しているのは間違いないが、麻友はそれ以上何も語らずうつむくだけだった。
母親が言うと、麻友は頷いた。決戦に向かう戦士のように、前を見据え、どこか誇らしい雰囲気が広がった。
店を出ると、街灯の灯りがほんのりと二人を迎えてくれた。おおよそ、さっきまでの麻友の気持ちとは対照的で、それが故にすぐに気持ちが萎縮しだした。
「うぅ、やっぱりやめようかな・・・」
「何言ってんの?!さっきまでの勢いはなんだったの?」
「そうは言ってもなりね、こう心臓が激しく鳴って、もう壊れそうなりよ。もう、無理無理無理」
「無理じゃない。それに今日はこんな時間なんだから、優に連絡取ったりするわけじゃないでしょ。なら、そんなに臆する必要ないじゃない」
「そ、そうなりね」
二人は歩き始めた。あとは家に帰るだけなのだから、特に急ぐ必要もない。タクシーなど使わずに、この気持ちのいい季節を楽しみながら歩いて帰ろうとなった。
「知ってる?この近くに大きな公園があるの。もう時期を過ぎちゃったから、桜は無理だろうけど、それでも色んな花が咲いているし、新緑の香りも楽しめるの。行ってみない?」
疑問形ではあるが、その実、命令形だ。麻友は母親について歩いた。しばらくするとさっきまでは感じられなかった新緑の匂いが、二人の鼻をくすぐった。
「いい匂いがするね」
伸びをしながら母親が言った。麻友も真似をして伸びをした。そして、したまま固まった。
「どうかしたの?」
「な、なんでもないなり」
ぎこちない態度から何かを隠しているのは間違いないが、麻友はそれ以上何も語らずうつむくだけだった。


