愛、桜

「ち、違うって。別にあの子の事なんて見てないよ」
そう言いながら心海を見た。明らかに冷めた視線であったから、心海が優の好みでないとすぐに察せられた。つまりは、みなみには勝機があると考えられた。
「・・・みたいだね」
「うん」
「ねぇ・・・」
みなみは優に囁いた。
それを残り三人の女子が見ていた。これは申し合わせた合図だった。
「はーい」
亜美の声が響いた。
「どうしたの?」
聞いたのは空助だ。隣で大きな声を出されたのだから、気づかないはずがない。
「もう、そろそろ出ない?」
「出るって・・・まだ、いいんじゃ・・・」
と言う空助に対して、亜美はウィンクした。それですべてを悟ったようだ。目は口ほどに物を言うと昔の人はよく言ったものだ。今それを空助は体験した。
「あ、そう言うこと」
「ねっ」
空助はマイクを持ち立ち上がった。そして、まるで亜美のマリオットのように、亜美の思ったままを話し出した。
「そうだな」
優以外、皆意図を汲みそれに賛同した。優も賛同はしたが、それは別の感情からだ。
全員が立ち上がる。