愛、桜

「ちょっと待ってなり。そんなにすぐに決まらないなり」
「相変わらずね」
母親は笑った。メニューを閉じてしまった事から、どうやら何にするか、もう決まったらしい。
「もう決まったなりか?」
「うん、決まったよ」
それが麻友にプレッシャーをかける。図太いようで麻友は繊細で弱いのだ。途端に頭を抱えだした。
「どうしたの?」
「悩み過ぎて頭が痛くなったなり」
「ははは。かわいい子ね。そう言う時は、いい方法があるのよ」
「どんな方法なりか?」
「見てて」
ちょうど店員がお冷やを持ってきた。
「注文いいですか?」
「はい、どうぞ」
エプロンのポケットから注文票を取り出し、メモを取る準備をした。
「私はこれで・・・」
いよいよ母親の言っていた“いい方法”がわかる。どんな方法かと、麻友は目を輝かせた。
「この子には・・・そうね、オススメってどれかしら?」
「オススメですか?でしたら、こちらなどがいいかと」
「じゃ、それで」
「かしこまりました。少々お待ち下さいませ」